未来は決定している?
このタイトルは、ニュートンの2011年4月号の表紙にも出ている特集記事の題名です。
物理学の決定論、非決定論に関する様々な話や、歴史的に著名な学者の話を紹介し、未来は決定しているのかどうかについて説明していました。
ニュートン力学に代表される決定論では、初期条件によって、その先が決まりますから、決定論的です。
一方、ニュートン力学のように決定論的に導き出せない現象もあり、それが量子力学等の分野です。こちらは、確率が入ってきて、非決定論的です。
我々が考えることさえ、物質によってなされているので、すべてものを知っている全知全能の神がいるならば、その神にとっては未来は決まり切っていると19世紀に唱えた人がいました。その人はフランスの数学者のピエール・ラプラスでした。ラプラスが想定した知性は、後に「ラプラスの悪魔」と呼ばれるようになりました。
量子力学の扱うミクロの世界は、非決定論的ですから、観測するまで結果が決まりません。ミクロの世界について観測すると、観測の行為によってミクロの粒子の動きに大きな影響が出てしまいます。このことが、不確定性原理に表れています。不確定性原理とは、「ミクロの粒子の位置と動き(運動量)を同時に正確に求めることはできず、ある程度の不確かさが残る」というものです。
アインシュタインは、「量子力学に不確実さ(確率)が入り込んでいるのは、量子力学が不確かなため」と考え、「神はサイコロを振らない」と述べました。また、量子力学に確率が入り込むことを嫌ったシュレーディンガーは、「シュレーディンガーの猫」と呼ばれる思考実験を考案しました。
量子力学には様々な解釈があるため、アメリカの著名な物理学者リチャード・ファインマン(1918~1988)は、「量子力学を使える者はいても、理解している者はいない」と述べたそうです。
このタイトルの件、このように現在の科学では答えられないというのが結論でした。例えば、私たちの意志が決定論的に決まっているかどうかということは、現在の科学では答えられません。